終活がブームとなってから自分が亡くなったあとのことを考える方が増えています。
終活の代表的な活動として遺言の作成やエンディングノートがあげられます。遺言とエンディングノートはどのような場合に必要となるのでしょうか。それぞれの違いについて解説します。
遺言とは自分の財産をどのように分けるかを明示するために作成するものです。遺言と言っても作成方式は3つの種類があります。遺言を作成する際の3つの種類について解説します。
自筆証書遺言とはその名の通り自筆で作成する遺言です。自筆で書くことができるため、内容を誰にも知られずに作成することが可能です。また、作成の費用もかかりませんので気軽に作成することが可能です。ただし、自筆証書遺言は法的な要件を整えておく必要があり、要件に不備があった場合遺言として無効となるというデメリットもあります。例えば、自筆証書遺言は添付する財産目録以外の全文を自書する必要があり、ワープロ等で作成した遺言は署名があっても無効となります。
実際に、自筆証書遺言を遺言者が死後に開封してみると形式に不備があり無効となったため、かえってトラブルとなるケースも多くありました。このようなトラブルを回避するために2018年の7月の民法改正に伴い法務局での自筆証書遺言の保管制度が始まりました。この新しい制度では本人が法務局に持参して生前に形式を確認してもらうことが可能です。万が一不備がある場合は書き直すことができるため、死後に不備のある遺言が発見されてトラブルになるというデメリットは解消されています。
今後の高齢化に伴い遺言の作成件数は増加することが予想されるため、気軽に作成できる自筆証書遺言の作成件数も増加すると言われています。
公正証書遺言とは公証役場に出向き、内容を公証人に口授することで作成する遺言です。公正証書の遺言を作成するためには公証役場に出向き二人以上の証人が必要となります。証人には相続人等の利害関係者はなることができないため、司法書士など費用を支払って証人になってもらうことが一般的です。
公正証書遺言は作成した時点で法的に有効な遺言となるため、死後にトラブルとなる可能性が低い点がメリットとなっています。一方で、公正証書の作成には費用がかかるため気軽に作成することはできません。
公正証書遺言と自筆証書遺言にはそれぞれのメリットとデメリットがあるため、それぞれの特徴を理解して作成する必要があります。
秘密証書遺言は自分の遺言の内容を誰にも知られたくないものの確実に遺言を遺したい時に有効な作成方式です。 秘密証書遺言は自分で作成した遺言を封緘した状態で公証役場に持って行き2人以上の証人と公証人の前で封筒の中身は自分の遺言書であることを伝え保管してもらいます。
あくまで、封緘した状態で公証人と証人には遺言を保管することを伝えますので、遺言の内容を知られることはありません。ただし、遺言書の内容に不備があるか否かは公証人も確認することができないため、遺言者が亡くなったあとに形式が不備となり遺言の内容が実現できないという可能性はあります。
秘密証書遺言は誰にも遺言を知られたくないという特殊なケースで用いられるため、ほとんどの場合自筆証書遺言か公正証書遺言で遺言を作成します。
エンディングノートとは自分の財産や交友関係、医療や介護、葬儀に関する考え方などを書き記しておくものです。エンディングノートを作成しておくことで、遺された方も亡くなった考え方を理解して財産の配分をすることが可能です。また、取引のある金融機関を明示しておくことで手続きも容易になるでしょう。
エンディングノートは生前に効果を発揮する点も特徴の一つです。高齢になると認知症になってしまい、自分の意思をはっきりと示せない可能性もあります。医療や介護、葬儀に関する依頼事項を事前に書いておくことで、家族はその方の考え方に沿って対応をすることが可能です。
遺言とエンディングノートの決定的な違いは法的効力の有無です。遺言は法的な効力があるため、第三者にも遺言を根拠に行動を促すことが可能です。例えば、取引の金融機関に遺言書の通りに財産を分けるため、預金を払い出して欲しいとお願いすれば、金融機関は応じる義務があります。しかし、法的効力の無いエンディングノートを金融機関に提出しても預金の払い出しに応じてくれることはありません。
また、エンディングノートは法的効力がないため、エンディングノートに財産配分についての記載があったとしてもあくまで相続人間での話し合いで決定することになります。法的効力の無いエンディングノートに記載があることで、相続人が困ってしまうという事態も発生する可能性があります。
しかし、エンディングノートを作成することが全く無駄なわけではありません。先ほどもご説明した通り、エンディングノートは医療や介護、葬儀に対する考え方を家族に伝えるための有効な手段でもあります。遺言とエンディングノートの特徴を理解し、しっかり使い分けをすることが重要です。
遺言書とエンディングノートは似たような機能があると考えている方も多いと思いますが、法的に効果があるか否かという大きな違いがあります。財産の配分を書き示しておくためには法的効力が無いと相続人が困ってしまうことも多いため、遺言書を作成した方がよいでしょう。
遺言の中にも3つの種類があります。よく利用されるのは自筆証書遺言と公正証書遺言ですが、法的に要件を整えることができるのであれば、自筆証書遺言で費用をかけずに十分に効力を発揮することができます。また、遺言書は考え方が変わった場合何度でも書き直すことが可能です。まずは現時点での考えを形にしておくことが重要ですので、財産の内容を明確にしておきたいと考えている方はまずは自筆証書遺言の作成を検討されてみてはいかがでしょうか。
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