本当に有効な相続税対策!「不動産」「二次相続」「孫への相続」について解説します。

2021/04/26 遺言

相続について考えるうえで重要となるのが相続税対策です。相続税対策をおこなうことで財産を相続する人の負担を大きく減らすことができます。具体的な相続税対策について解説します。

1.不動産の購入

相続税対策として不動産を購入することが有効です。不動産を購入すると相続税対策になる理由は時価評価と相続税評価額との間に乖離があるからです。
相続税の計算をする場合、土地は「路線価」といわれる評価指標で計算します。路線価は時価の8割程度となりますので、土地を購入するだけで相続税評価を引き下げることが可能です。また、土地の上に建物を建てて人に貸すことで貸屋建付地となり、更に評価をさげることができるのです。
不動産の評価に関する詳しい内容はこちらの記事でご確認ください。→記事②のリンク
このような理由から現金で不動産を購入することや保有している土地にアパートなどの建物を
建てることは有効な相続税対策と言えるでしょう。

また、1億円の不動産を購入するよりも2億円の不動産を購入する方が相続税対策の効果としては大きくなります。効果を大きくするために融資を受けることも選択肢の一つです。債務は相続財産から差し引くことができますので、融資を受けて規模を大きくすることで相続税対策の効果を大きくすることが可能です。

[注意点]
不動産を活用して相続税対策を行う場合、不動産経営自体がうまくいかないというリスクを考慮しておく必要があります。不動産経営は必ずしもうまくいくとは限りません。アパートを建てても空室が続いた場合、相続税の節税額以上に損失が発生する可能性もあります。融資を受けて不動産を購入する場合は毎月借入金の返済も行う必要がありますので、よりリスクが高まります。
また、行きすぎた相続税対策は税務署から否認される可能性もあります。土地を相続する場合、相続税の計算は基本的に路線価を基に算出しますが、あまりにも路線価と時価が乖離している場合は税務署長の指示で不動産鑑定評価によって相続税の計算をする必要があるケースがあります。
また、被相続人が亡くなる直前までに購入した物件や相続発生直後に売却するケースでは税務署から指摘を受ける可能性が高くなるため注意が必要です。


2.二次相続もふまえて検討する

相続税の対策をして検討する際は二次相続もふまえて検討する必要があります。
二次相続とは夫婦で相続が発生した際にどちらか先に亡くなった方の相続を一次相続、後に亡くなった場合を二次相続と言います。
同じ家族でも分け方によって相続税の総額は大きく変わります。二つのパターンについて解説します。

【前提条件】
家族構成:夫、妻、長男、長女
財産
夫:正味遺産総額1億4,800万円(基礎控除を控除した後の課税遺産総額1億円)
妻:正味遺産総額1億4,800万円(基礎控除を控除した後の課税遺産総額1億円)

分け方①どちらか一方が亡くなった場合、配偶者に全財産を相続させる(長男・長女には相続させない)
分け方②どちらか一方が亡くなった場合、長男と長女に1/2ずつ相続させる(配偶者には財産を遺さない)

上記のパターンで一次相続と二次相続の相続税総額を計算すると下表の通りとなります。

分け方①は一次相続では配偶者の税額軽減を利用することで相続税0円となっていますが、二次相続では先に亡くなった配偶者の分も相続していて、正味遺産総額が2億9,600万円となっているため相続税の負担がかなり増え、分け方によって相続税の支払い総額が大きく異なることがわかります。
一次相続では配偶者が多くの財産を相続することで配偶者の税額軽減を利用して相続税の負担が軽くなります。しかし、二次相続では法定相続人も1人減っていることもあり、基礎控除や生命保険の非課税枠も少なくなっていますので、結果的に二次相続税での相続税負担が大きくなってしまうのです。二次相続をふまえて検討すると配偶者にはあまり財産を遺さないということも相続税対策のひとつです。相続税の計算の方法について詳しく知りたい方はこちらの記事もご確認ください→①記事のリンク

二次相続もふまえて分け方を決める際は夫婦で遺言を作成することが有効です。夫婦で話しあってお互いにどれくらい財産を遺すべきなのか検討してみるとよいでしょう。


[注意点]
相続税の総額を減らすためには配偶者にはあまり財産を遺さずに子どもに相続させた方が有利です。しかし、遺された配偶者の生活資金には配慮が必要です。高齢となったあとは介護や医療費など若い頃にはかからなかった出費も多くなります。相続税のことだけではなく配偶者の生活資金が確保できるかも視野に入れて配分を決めるようにしましょう。

お互いの生活資金を検討する際は現在のお互いの資産額と年金額を把握することが重要です。特に夫が会社員で妻が専業主婦であった夫婦は夫が先に亡くなると厚生年金の受給額が減ってしまいます。将来受け取ることができる年金受給額も加味して生活に困らないように割合を決めるとよいでしょう。

3.子ではなく孫に相続させる

代々引き継いでいく土地などがある場合は子どもではなく、孫に相続させることも有効です。孫に相続させることで、親⇒子⇒孫の順番で相続するよりも一回相続を飛ばすことができるので、相続税の負担を減らすことが可能です。

また、孫を養子に入れて法定相続人とすることで基礎控除や生命保険の非課税枠も増えるため、相続税対策になります。

[注意点]

若い孫に多額の財産を相続させる場合には孫への教育的な影響にも配慮する必要があります。

また、孫に相続させる場合、相続税の2割加算の対象となります。

孫を養子に入れる場合は孫の心情にも配慮することが重要です。養子縁組は相続税対策のためにある制度ではありませんので親権者が変わる影響も考慮しておこなう必要があるでしょう。


4.相続税対策を重視し過ぎないように注意が必要

相続対策を検討するうえで、相続税対策は重要です。しかし、相続税対策をだけを重視し過ぎると相続は上手くいかないケースもあります。まず配慮が必要なのは法定相続人の財産の配分方法です。相続税対策を重視するあまり、法定相続人間で争いが起こるような配分にすることは避けた方がよいでしょう。

次に気を付けておきたいのは納税資金の確保です。不動産等相続税評価が低くなる財産を多くすることで、相続税を減らすことができますが、現金を確保しておかないと納税することができません。相続税対策を検討する際は配分や納税資金の確保など、あらゆる面で問題が起こらないかも検討しながら進める必要があります。

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