⑤遺言作成にはいくらかかる?自筆証書遺言と公正証書遺言の費用について解説!

2021/04/26 遺言

財産の配分を明確にして遺言を作成しておきたいと思われている方は多いと思います。遺言を作成するとどれくらい費用がかかるのでしょうか。遺言作成にかかる費用について解説します。

1.公正証書遺言作成にかかる費用

公正証書遺言を作成するためにはどのような費用がかかるのでしょうか。わかりやすく解説します。

(1)専門家に相談する費用

公正証書を作成する際は自分自身で公証役場に行って公証人に内容を伝えて作成することも可能です。しかし、遺言作成に関する知識が無い方はなかなかご自身で作成することは難しく、専門家に相談し、内容について確認してもらうことが一般的です。

相談する相手方は弁護士や司法書士など、法律の専門家です。相談費用は5万円~10万円程度であることが多くあります。市区町村が開催している無料相談会等でも相談できる場合がありますので、利用してみるとよいでしょう。

(2)公正証書を作成する費用

公正証書で遺言を作成する場合は公証役場に作成費用を支払う必要があります。公証役場に支払う費用は公証人手数料令第9条によって定められており、財産の額によって算出されます。

【公証役場に支払う費用の目安】

※財産額が1億円以下の場合は上表の金額に11,000円加算

上記の表はあくまで財産額による目安です。相続させる人数や財産の種類によっても作成時の金額は変動します。例えば、不動産が多い人は記載内容が預貯金よりも複雑になりため、作成費用が高くなります。

公証役場に相続人関係図や戸籍謄本、作成する遺言の内容を伝えると事前に見積もりをしてもらえますので、気になる場合は見積もりをしてもらうとよいでしょう。

また、健康状態が優れない場合は自宅や病院などに出張してもらうことも可能です。出張する場合は通常の費用の1.5倍程度かかります。

また、公正証書遺言を作成する場合は証人2名の立ち合いが必要です。法定相続人や財産をもらう人は立ち会うことができません。適切な証人がいない場合は司法書士や行政書士に依頼することも可能です。その場合は、証人立ち合いの手数料として1万円程度支払います。

弁護士や司法書士等の専門家に相談して公正証書遺言を作成する場合は合計で10万円~20万円程度かかると考えておくとよいでしょう。

2.自筆証書遺言にかかる費用

自筆証書遺言を作成する際にかかる費用はどのようなものがあるのでしょうか。

(1)自筆証書遺言には費用がかからない

自筆証書遺言を全て自分で作成した場合は費用がかかることはありません。全く費用をかけずに遺言を作成できる点は自筆証書遺言の大きなメリットと言えるでしょう。

ただし、作成にあたって専門家等に依頼をした場合は手数料がかかります。この場合の手数料は公正証書遺言と同じく5万円~10万円程度と考えておくとよいでしょう。

(2)法務局で保管する場合

2020年7月より自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる制度が始まりました。法務局で保管してもらう制度では主に以下のメリットがあります。

①自筆証書遺言で必要な「検認」が必要ない

②法務局で保管することで偽造や改ざん、紛失のリスクが無い

③遺言者が亡くなったあとに遺言があるかどうか検索をすることができる

法務局の保管制度では1件につき3,900円の費用がかかりますが、自筆証書遺言のデメリットが大幅に改善されるため、今後活用が増えることが期待されています。法務局の保管制度では以下の記事で詳しく解説しています。⇒法務局保管制度記事リンク

3.公正証書遺言と自筆証書遺言、どちらで作成した方がよい?

公正証書遺言と自筆証書遺言ではどちらで作成した方がよいのでしょうか。それぞれのメリットとデメリットを確認しておきましょう。

(1)費用がかからないのは自筆証書遺言

費用面を考えるとメリットがあるのは自筆証書遺言です。公正証書遺言は作成する際に公証役場に費用を支払う必要がありますので、手軽に費用をかけずに作成するのであれば、自筆証書遺言がオススメです。また、自筆証書遺言であれば考え方が変わった場合でも気軽に書き換えができます。何度も書き換えをする可能性がある方にとっては無料で内容を変更できる点も大きなメリットとなるでしょう。

ただし、自筆証書遺言で遺言を作成する場合や、形式の不備や内容についてもしっかりと検証して作成する必要があります。遺言を作成する場合はあらゆる事態を想定して作成する必要があります。遺言の作成に慣れていない方が完璧な遺言を作ることは難しいものです。遺言を作成する際は内容についてはよく吟味し作成するようにしましょう。

(2)確実に効果があるものを作成するのであれば公正証書遺言

自筆証書遺言は費用がかからないというメリットがあるものの、作成時点確実に効果があると確証を得ることはできません。自筆証書遺言の場合、形式不備ななどで無効となってしまった場合、遺言の効力が発揮されることはありません。一方公正証書であれば、公証人は確実に効力があるものと証明してくれます。そのため、安心して確実に遺言を作成することができます。

新しく始まった法務局の保管制度では保管時に形式不備などを確認してくれます。しかし、遺言の内容を細かく見てくれるわけではありませんので、結果として無効となってしまうケースがあります。

結果として無効となってしまうケースは様々ですが、代表的なものが財産を特定できないケースです。法務局の保管制度を利用する場合でも、確実に効果を発揮する遺言を作成できるわけではないということは理解しておいた方がよいでしょう。

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